SF初心者話
時々、無性にSFが読みたくなることがあります。
あまり進んで読むことは無かったんですが、ここ何年かで少しずつ読み始めた初心者です。
記憶の上で初めて読んだSFは、中学生の頃に読んだ森田季節『不動カリンは一切動ぜず』(ハヤカワ文庫JA、2010年)。
性病の流行により、誰もがクレイドルと呼ばれる試験管から産まれてきて、掌に埋め込まれたチップを重ね合わせてコミュニケーションを取る、そんな世界の宗教と友情の話。
SFというかオカルトというか百合というか。
SFとも百合とも思わずによく分からないまま読んだので、今になって内容を思い出しては"良いじゃん……"と思う作品ですね。
その後もちまちま無意識にSFを読んだり読まなかったりしつつ、勧められて読んだのが、フレドリック・ブラウン『天の光はすべて星』(ハヤカワ文庫SF、1964年)。
しんどい……すごくしんどいのに美しいラストでした……。支えてくれた恋人との別れ、自分がいたかもしれない場所を地上から見上げるエンディング……。
そして何より良いなと思ったのが、今では当たり前のように存在している歴史、技術が執筆当時(1953年)にはSFの域だったという点。衛星放送が当時は未来の話だったんだなぁと読了後に気がついたり。
SF読んでるよ!と言いつつ地球が舞台の作品ばかり読んでいるのは、このあたりのファンタジーだけど現実的という感覚が好きだからかもしれないです。
星新一作品もそういう所が好きだなと。SFなのに現実的。突飛な話なのに妙にリアリティがある。
『天の光はすべて星』は作品に現実が追いついたというエモさがありそれは「現実的」とはまた別の良さですが。
あとは、SF世界ならでは、SF世界だからこそ発生し得る疑問、問題が描かれていたりするとなるほどね!!と思います。
AIが非常に発達した世界で、人間とアンドロイドを如何に見極めるか(フィリップ・K・ディック『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』(ハヤカワ文庫SF、1977年))、コールドスリープについてくる保険、目覚めた先の時代に順応する苦労(ロバート・A・ハインライン『夏への扉』(ハヤカワ文庫SF、1979年))等。
男性が操る美人ロボットと主人公の男性の恋愛模様なんていうものも(小川一水『煙突の上にハイヒール』(光文社、2009年)収録、『おれたちのピュグマリオン』)。
現実味があることで、よりその世界を身近に感じて、その世界の空気として、物語の行く末を見守ることが出来るのだと思います。あくまで私の場合ですが。
想像できる範囲でしか感情移入出来ない……というのもどうかと思うので、いつかは宇宙進出(!)したいですね!
……何だかハヤカワ文庫SFの回し者みたいな記事になってしまいましたがそういう思惑は一切ありませんからね!!